MICROBIOME
GUT FLORA腸内フローラとプレ・プロバイオティクス
「菌を入れる」だけが腸活ではありません。育てる・組み合わせる・作らせる——プレ/プロ/シン/ポストバイオティクスの違いを、ここで整理します。
腸内フローラ(腸内細菌叢)とは
私たちの腸には約1,000種・100兆個ともいわれる細菌がすみ着いています。顕微鏡で見ると、種類ごとに群れて生息する様子が「お花畑(flora)」のように見えることから、腸内フローラと呼ばれます。その全体を学術的には腸内細菌叢(マイクロバイオーム)と言います。 大切なのは、特定の「良い菌」を増やすこと以上に、多様な菌がバランスよく共存していること。畑の土と同じで、多様で豊かな腸内環境ほど、ちょっとした食事の乱れやストレスにも揺らぎにくくなります。
善玉・悪玉・日和見のバランス
「善玉2:悪玉1:日和見7」がよく理想とされる比率。ポイントは、多数派の日和見菌をどちらに味方させるか、です。
ビフィズス菌・乳酸菌など。消化を助け、短鎖脂肪酸を作り、悪玉菌の増殖を抑える。
ウェルシュ菌・大腸菌の一部など。増えすぎると腐敗物質や有害ガスを生む。ゼロにする必要はない。
多数派。優勢な側に味方する。善玉が優位な環境を保つことが、この多数派を味方につける鍵。
「○○バイオティクス」を整理する
似た言葉が並びますが、役割はそれぞれ違います。「菌そのもの・菌のエサ・その両方・菌が作る物質」の4段階で覚えると、すっきりします。
体に良い働きをする生きた菌そのものを、口から取り入れること。ヨーグルト・納豆・味噌・キムチ・ぬか漬けなどの発酵食品や、菌が入ったサプリメントが該当します。
例:納豆・ヨーグルト・味噌・キムチ・ぬか漬け
善玉菌のエサになる成分。主に食物繊維とオリゴ糖です。菌を「入れる」だけでなく、もともといる善玉菌を「育てる」発想。届けるエサ次第で、育つ菌が変わります。
例:水溶性食物繊維・オリゴ糖・イヌリン(玉ねぎ・ごぼう・バナナ・海藻)
プロバイオティクス(菌)とプレバイオティクス(エサ)を一緒にとる考え方。「納豆+玉ねぎ」「ヨーグルト+バナナ」のように、菌と、その菌が好むエサをセットで届けます。
例:ヨーグルト+バナナ/納豆+ねぎ/味噌汁+海藻
善玉菌がエサを発酵して作り出す有用な代謝物。代表が短鎖脂肪酸です。近年は「最終的に体に効くのは菌の作る物質」という視点から、もっとも注目されている領域です。
例:短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸・プロピオン酸)
主役は「短鎖脂肪酸」
善玉菌が食物繊維を発酵させて作り出すのが短鎖脂肪酸。これこそ、腸活で本当に手に入れたい「成果物」です。腸の壁を守り、炎症を抑え、全身の代謝にまで影響します。つまり、食物繊維(プレ)を届け、菌(プロ)に作らせ、短鎖脂肪酸(ポスト)を受け取る——これが一連の流れです。
大腸の粘膜細胞の主なエネルギー源。腸のバリアを守り、炎症を抑える働きで特に注目される。
腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑える。全身のエネルギー代謝にも関わる。
肝臓に運ばれ、糖や脂質の代謝に関与。食欲や血糖の調整にも関わるとされる。
今日からできる、育て方
難しく考えず、「菌」と「エサ」をセットで、毎日少しずつ。続けることが何よりの近道です。
納豆・ヨーグルト・味噌・キムチ・ぬか漬けから、まずは1つを習慣に。菌は定着しにくいので、毎日続けることが大切。
玉ねぎ・ごぼう・海藻・きのこ・豆・全粒穀物・バナナ。水溶性食物繊維は善玉菌の好物。
「ヨーグルト+バナナ」「納豆+ねぎ」「味噌汁+わかめ」。菌とエサを一緒に届けると効率的。
同じものに偏らず、いろいろな植物性食品を。「週に30種の植物」を目安にすると菌の多様性が広がる。
超加工食品・過剰な糖やアルコールは腸内環境を乱しやすい。睡眠・運動・ストレスケアも腸に直結する。
※ どんな菌や食品が合うかには大きな個人差があります。お通じや体調の変化を見ながら、自分に合うものを見つけていくのが、精密栄養学的な腸活です。

