ON YOUR HABITS
嗜好品と体
お酒もタバコもコーヒーも、人生の楽しみであり、息抜きでもあります。このページは「やめなさい」と言うためのものではありません。ただ、体に何が起きているかを正しく知った上で、自分で選べるように——そのための情報です。
アルコール
適量のお酒は心をほぐし、食事や人付き合いを豊かにしてくれます。一方で、近年の科学はやや厳しい見方を示しています。WHO(世界保健機関)は2023年、「健康にとって安全な飲酒量は存在しない」との見解を出しました[1]。アルコールは、IARC(国際がん研究機関)が最も確かなランク(グループ1)に分類する発がん性物質でもあります。 体の中では、アルコールの分解にビタミンB群などの栄養が消費され、睡眠の質の低下・肝臓への負担・血糖や中性脂肪の乱れを招きます。「寝つきが良くなる」と感じても、実は夜中に目が覚めやすく、深い睡眠は減っています。
休肝日をつくる/量をあらかじめ決める/水を挟む/空腹で飲まず、タンパク質や野菜と一緒に。完全にやめなくても、「減らす」だけで体の負担はやわらぎます。
タバコ
正直にお伝えすると、タバコについては「ほどほどなら大丈夫」という線引きが、ほとんどありません。喫煙は、がん・心臓病・呼吸器の病気など、数多くの健康被害とはっきり結びついており、WHOも世界の主要な死亡原因のひとつとしています[2]。 体の側から見ると、タバコの煙は大量の活性酸素を発生させ、酸化ストレスを一気に高めます。血管を傷つけ、肌の老化(糖化・酸化)を進め、ビタミンCなどの抗酸化栄養を激しく消耗させます。本人だけでなく、受動喫煙として周囲の人にも影響します。 とはいえ、依存性が強く、「やめたいのにやめられない」のは意志の弱さではありません。やめたいと思ったら、禁煙外来など専門家のサポートを利用すると、ぐっと成功しやすくなります。一人で抱えなくて大丈夫です。
カフェイン
コーヒーや緑茶のカフェインは、適量なら集中力や気分を後押しし、抗酸化成分も含むなど、必ずしも悪者ではありません。問題になるのは量とタイミングです。 摂りすぎると、不安・動悸・睡眠の質の低下を招きます。とくにカフェインは体に長く残るため、午後遅く〜夜の摂取は、自覚がなくても夜の睡眠を浅くします。「夕方のコーヒー」が、翌朝のだるさの原因になっていることも。
午後(おおむね14時以降)は控えめに/エナジードリンクの常用を避ける/不安や不眠が気になる人は、まずカフェインを見直してみる。
ゼロか100か、ではなく
嗜好品は、心の満足という大切な役割も担っています。すべてを断つことが、必ずしも幸せとは限りません。大切なのは、体に何が起きているかを知った上で、自分にとってのちょうどいい付き合い方を選ぶこと。知らずに流されるのと、知って選ぶのとでは、同じ一杯でも意味が変わります。タバコのように「減らす・やめる」がはっきり体のためになるものは、無理なく一歩ずつ。それで十分です。
※ 本記事は一般的な健康情報です。お酒・タバコの依存でお悩みの方、やめたい方は、医療機関や禁煙外来、公的な相談窓口にご相談ください。持病・服薬中の方は、嗜好品との付き合い方について主治医にご確認ください。
このページの参照
- [1]No level of alcohol consumption is safe for our health(2023) — WHO(世界保健機関)
- [2]Tobacco — Fact sheet — WHO(世界保健機関)
全テーマの出典は 参照文献・出典ページ にまとめています。

