FOOD SAFETY
カビ毒と食の安全
目に見えるカビは取り除けても、カビが作り出した「毒」は食品の中に残っていることがあります。神経質になりすぎず、でも知っておきたい——カビ毒(マイコトキシン)の基本と、家庭でできる対策をまとめます。
カビ毒(マイコトキシン)とは
カビ毒とは、その名のとおりカビ(真菌)が作り出す有害な物質のことです。穀物・ナッツ・コーヒー・乾物などが、栽培中や保存中にカビに侵されると、こうした毒が作られることがあります。 やっかいなのは、毒そのものは目に見えないこと。そしてふつうの加熱調理では分解されにくいことです。「カビた部分だけ取り除けば大丈夫」と思いがちですが、毒は見えない範囲まで広がっていることがあり、加熱しても残ります。
主なカビ毒
代表的なものを知っておくと、どんな食品の保存に気をつければいいかが見えてきます。
アフラトキシン
カビ毒の中でもとくに有害。IARC(国際がん研究機関)が最も確かなランク(グループ1)に分類する発がん性物質で、主に肝臓に負担をかけます。高温多湿で増えやすい。
オクラトキシンA
主に腎臓に影響するとされるカビ毒。保存中に増えやすく、コーヒー豆や乾物で注意される。
その他
穀物や果物の加工品にも、それぞれ特有のカビ毒が知られています。種類は数百にのぼります。
体への影響
大量にとれば急性の中毒(とくに肝臓の障害)を起こすことがありますが、日常で問題になりやすいのは、むしろごく微量を長期間とり続けること。アフラトキシンは肝臓に、オクラトキシンAは腎臓に負担をかけるとされ、長期的な健康リスクが指摘されています。 とはいえ、過度に怖がる必要はありません。日本をはじめ各国には食品中のカビ毒の基準値があり、流通する食品は検査・管理されています。リスクの多くは、むしろ家庭での保存や、傷んだものを「もったいない」と食べてしまうところにあります。
家庭でできる、減らし方
特別なことは不要。「湿気を避けて、新しいうちに、迷ったら捨てる」が基本です。
カビは高温多湿で増える。ナッツ・穀物・粉類・乾物は密閉し、開封後は冷蔵・冷凍も活用。シンク下など湿気の多い場所は避ける。
買いだめしすぎず、ナッツやコーヒー、粉類は早めに消費。古くなったものほどリスクが上がる。
一部にカビが見えたら、その食品は基本的に処分を。「カビた部分だけ取る」では毒が残ることがある(かたいチーズの一部など例外もあるが、迷ったら捨てる)。
ナッツやドライフルーツ、コーヒーなどは、保管状態のよい新鮮なものを。安すぎる・古そうなものは避ける。
「入れない」と「出す」で考える
カビ毒も、ほかの有害物質と同じく、入れる量を減らし(保存と選び方)、入ってきたものを処理して出す(肝臓・腎臓の解毒)という両輪で捉えるのが現実的です。完璧を目指すより、日々の小さな習慣で負担を減らしていきましょう。
※ 本記事は一般的な食品衛生の情報であり、特定の食品の危険性を煽ったり、診断・治療を目的とするものではありません。体調不良が続く場合や食中毒が疑われる場合は、医療機関にご相談ください。
このページの参照
- Mycotoxins — Fact sheet(カビ毒の種類と健康影響) — WHO(世界保健機関)
全テーマの出典は 参照文献・出典ページ にまとめています。

